お正月のおせち料理の定番の一つである数の子。
食感がポリポリとよく、見た目も鮮やかで食欲をそそります。
ついつい食べ過ぎてしまいますよね。
そんな数の子ですが、塩抜きに時間がかかってしまうので、大晦日の忙しいときに行うのはちょっと面倒です。
「短時間で手早くできる方法があればいいなあ」と思っていた人も多いのではないでしょうか?
実は、簡単に短時間でできる数の子の塩抜きの方法があるんです!
そこで今回は、この早くできる塩抜きの方法をお伝えします。
またあわせて、時間がかかりますが通常の塩抜きの方法と、塩を抜きすぎて失敗したときのリカバリーの方法、塩抜きに塩水を使う理由もご紹介しますね。
短時間で行う塩抜きの仕方は?
どうしても今日中に食べたい!とお急ぎのときは、下記の手順で塩抜きしてください。
ポイントはぬるま湯を使うことです。
- 約40℃のぬるま湯で塩水をつくり、数の子を1時間ひたす
(ぬるま湯1リットルに対して塩小さじ2) - 数の子の薄皮を指で丁寧にはがす
- 真水に1時間ひたす
- 味見をして塩辛ければ、真水を取り換え再度ひたす
- ちょくちょく味見をして、ちょうどいい塩加減になれば終了
水の量は、数の子500gに水3リットルくらいが目安です。大き目のボウルや鍋を用意しましょう。
40℃のぬるま湯は、手を入れてみて、お風呂の温度と同じくらいならOKです。
ぬるま湯にひたすことで、薄皮がはがしやすくなります。これをはがすと、より塩抜きが早くできますよ。
数の子の大きさや量によって、塩の抜ける早さが違ってきます。味見をしながら、ちょうどいい塩加減を見つけましょう。
この方法は、時間がないとき、お手軽に塩抜きするためのものです。
次に紹介する時間をかけた通常の塩抜きより、味が落ちてしまいます。
ただ口コミを見る限り、この方法でもおいしく食べられた!という方が多いようです。
私も味の違いがよくわかりませんでした!(笑)
時間をかけた塩抜きの方法は?
急ぎではなく、ちょっと手間をかけもいいよ!という方は、以下の方法で塩抜きをしましょう。
- 塩水(水3リットルに対して塩小さじ2)をつくり、その塩水に数の子を常温で3時間ひたす
- 塩水を捨てる
- 1~2の作業を、あと2回繰り返す
(塩水に漬ける→3時間待つ→塩水を取り換える を全部で3回行う) - 数の子の薄皮を指で丁寧にはがす
- 味見をして、ちょうどいい塩加減になったら完成!
水の量は、数の子500gに水3リットルくらいが目安です。大き目のボウルや鍋を用意しましょう。
3時間ひたすことを3回繰り返しても、まだ塩辛く感じるときは、少し塩の量を減らした塩水にもう一度つけてください。
その後、ちょくちょく味見をして、ちょうどいい塩加減になったら、塩抜き終了です。
時間があるときは、こちらの方法で塩抜きするといいですね。
以下の動画でも塩抜きの方法を見ることができます。
参考動画
塩を抜きすぎて苦みを感じたときは?
数の子は塩を抜きすぎると、苦みが出てしまいます。
塩抜き失敗の原因の一つが、これですね。
そんなときは、濃いめの塩水(水3リットルに塩小さじ3くらい)を用意して、1~2時間数の子を漬けてください。
こうすることで、塩分が数の子に戻り、苦みが取れます。
味見をしながら、ちょうどいい塩加減を目指しましょう!
どうして塩水を使うの?
「塩を抜くのに、どうして真水じゃなくて塩水を使うの?」と疑問に思う人もいるかと思います。
理由は、真水を使うと、数の子の食感が損なわれ、味に苦みが出るからです。
一応下記にそれぞれの理屈を説明します。
なるべくわかりやすく書きますが、興味のない人はまとめまで読み飛ばしてもいいですよ。
真水だと数の子の食感が損なわれる理由は?
理由は、真水だと浸透圧に差がありすぎるからです。
浸透圧ってそもそも何?という疑問があると思います。
浸透圧とは、ざっくりいえば、「濃度を同じにするよう働く力」のことですね。
今回の数の子をみますと、塩分たっぷりの数の子を真水に漬けこむと、数の子と真水間で塩の濃さ(塩分濃度)を同じにする力が働きます。これが浸透圧ですね。
100%オレンジジュースと水を同じ量混ぜたら、50%オレンジジュースができるみたいな理解でいいと思います。厳密には違いますけど!
浸透圧が働くと、数の子の塩の濃さ(塩分濃度)を下げようとして、数の子が水分を吸収します。
このとき、塩分濃度の違いから、真水だと塩水よりも、水分を急激に吸い込んでしまうのです。
この吸い込んだ水の圧力が強すぎて、数の子の細胞を破壊してしまいます。
これが、数の子の食感を損なうことに繋がるというわけですね。
つまり、
- 真水のほうが数の子のしょっぱさを下げようとする力が、強く働く。
- 数の子が水分を急激に吸収して、数の子の細胞が壊れる。
- 細胞が壊れると、食感が悪くなる。
これが塩抜きに塩水を使ったほうが良い理由その1です。
真水だと味に苦みが出る理由は?
この理由は、塩化マグネシウムにあります。
塩化マグネシウムとは、豆腐をつくるときに使う「にがり」のことで、名前の通り味は苦いです。
実は、この塩化マグネシウムは数の子に最初から含まれています。
数の子が塩辛いうちは、塩味が前面に出ることで、苦みをあまり感じさせません。
しかし、真水で塩抜きすると、どうなるでしょう。
当然塩水よりも塩を抜きすぎてしまいます。その結果、塩化マグネシウムの苦みが前面に出て、味に苦みを主張してくるのです。
ようするに、塩辛さで普段は隠れている数の子の苦みが、塩を抜くことで感じやすくなる!という話ですね。
これが、真水で塩抜きすると苦みが出る理由その2です。
まとめ
今回は、数の子の塩抜きの仕方2種類と、苦みを調節する方法と、塩抜きに塩水を使う理由をご紹介しました。
ポイントは次のとおりです。
- 時間がないときの塩抜きは、ぬるま湯を使う
- 時間があるときは、塩水で3時間×3セット
- 塩を抜きすぎても、後から調節できる
- 真水ではなく塩水を使う理由は、食感を守るためと苦みを出さないため
数の子の塩抜きをするときは、大晦日の忙しいときが多いと思います。
時短方法を上手に活用しましょう。